顎変形症とは上下のあごの骨の大きさや形、位置などに大きな不調和があり、その改善のために外科手術が必要であると考えられる状態です。
日本人に多い下顎前突症は上あごにくらべて下あごのみが大きくなった結果下あごが突き出た横顔となり、前歯の噛み合わせは受け口になります。
上顎前突症は逆に下あごが小さく後退した状態で前歯のかみ合わせは出っ歯になります。
下あごの成長が悪いために起こる上顎前突症は睡眠時無呼吸症候群の原因の一つと考えられています。
左右のあごの関節で成長に差がでると下あごが非対称に成長してしまい、下あごが左右にずれた状態になる場合もあります。
下顎前突
上顎前突
このような顎変形症になると、噛み合わせが悪いために食べ物が噛みにくい、発音がしにくい、ということが起きます。
子供のうちは不調和の程度が軽度なら手矯正治療のみで治療も可能ですが、思春期以降に不調和が明らかになることが多く、その場合は矯正治療+外科手術で対応することが多くなります。
外科矯正 治療の流れ
提携している病院の歯科口腔外科へ受診いただき、顎矯正外科手術に関する説明・検査を受けていただきます。
手術前の準備として矯正治療を行うための精密検査・診断を行います。
術前矯正治療:約6~18か月
入院予約:手術日の3~6か月前
入院して手術
術後矯正治療:約6~12か月
保定
保険適応治療
都道府県より指定された指定自立支援医療機関に限り、手術を伴う顎変形症に対しての矯正治療・手術はすべて保険適応になっており、当院は山形県から指定を受けているため、健康保険を使った矯正治療が可能です。
令和元年7月から顎変形症の治療を開始して、令和2年12月末時点で10名が治療を受けております。
提携病院
山形県立中央病院
山形市立病院済生館
山形大学附属病院
東北大学歯学部付属病院(宮城県仙台市)
東京歯科大学水道橋病院(東京都文京区)
症例
上下顎変形症に対する外科手術を併用した矯正治療《保険》
術前正面
術後正面
術前側貌
術後側貌
主訴 | 上下前歯の真ん中が合わない、かみ合わせを治したい |
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診断名あるいは主な症状 | 上下顎変形症、交叉咬合 |
初診年齢 | 26歳 |
治療内容・装置 | マルチブラケット装置(上下表側からの矯正治療) 上下顎骨形成術(全身麻酔下の手術) |
抜歯・非抜歯 | 上下顎左右智歯抜歯 |
治療期間 | 1年7か月 |
費用 | 140,000円(保険適用、当院での自己負担額) |
治療のリスク | 歯の移動に伴う痛み 上下顎前歯部の歯根吸収 装置による口内炎 ブラッシング不良によるむし歯、歯周炎 外科手術後の痛み、腫れ、知覚鈍麻 |